技術の特徴
①どこに新規性があるのか?(従来技術と比較して何を改善したのか?)
伸縮装置設置工と床版防水工を個々に実施する従来工法と比較して、同じアスファルト乳剤系の遊間部に充填することで伸縮装置を形成する伸縮材と、床版上に塗布することで床版防水層を形成する防水材を一体化して施工することで、弱点部を減らし橋梁の劣化を抑制します。
伸縮装置設置工では、伸縮装置内部のゴムによって遊間部の伸縮を確保していた従来工法と比べて伸縮材自身が伸縮することで伸縮性に対応しているため品質が向上しています。道路橋示方書に定められる設計伸縮量に基づき桁長20m以下の小規模橋梁の設計伸縮量を満たし、耐久性能試験、伸縮性能試験、温度依存性試験をクリアしています。
床版防水工では、道路橋床版防水便覧の基本照査試験を満たした常温で施工できる塗膜系床版防水層を形成します。
伸縮材、防水材共に独自に開発した材料によりゴムアスファルト乳剤により硬化養生時間を短縮させ、トータルの工程にて工期の短縮を図ることができます。
②期待される効果は?(新技術活用のメリットは?)
伸縮材と防水材が一体化することにより、防水性の弱点となる伸縮装置と床版防水の各施工部の継ぎ目がなくなるため、品質が向上します。
従来工法では熟練した作業員が必要ですが、新技術ではアンカー打設や鉄筋溶接などの複雑な施工が不要になり、トラッククレーン等の重機が不要になるため騒音等の周辺環境への影響が改善され、作業員の負担も軽減されます。
また、高温溶融した防水アルファルト材料の取扱いがなく、常温での施工が可能なアスファルト乳剤を使用するため熟練した施工技術を不要とし、既存のアスファルト塗膜系床版防水と比べて施工の容易性や現場の安全性の向上への寄与が期待できます。アスファルト溶融釜等の重機が不要となるため、悪臭・騒音等の周辺環境への影響が改善され、作業員への負担も軽減されます。
技術の適用条件・適用範囲
①自然条件
特になし
②現場条件
特になし
③技術提供可能地域
日本全国
④関係法令等
特にありません。
①適用可能な範囲
道路橋
②特に効果の高い適用範囲
15m以下の小規模な橋梁
③適用できない範囲
設計伸縮量が20mm以上の橋梁
鋼桁の橋梁
④適用にあたり、関係する基準およびその引用元
・公益社団法人 日本道路協会 道路橋床版防水便覧(平成19年3月)
・NEXCO 構造関係試験方法 試験法437(埋設型ジョイントの実物大供試体試験方法)
施工方法について
施工条件
・伸縮装置は伸縮量20mm相当
・伸縮装置の日当り施工数量は7.2m
・昼間作業
・仮復旧は伴わない
・補修工は、カッター工、はつり工、旧ジョイント撤去工、据付工、型枠工、打設工、仕上・養生を含む
・床版補修費用、舗装工、足場工、防護工、規制工、産廃処理費は含まない。
積算条件
【共通】
・施工延長:7.2m
・橋面防水:50㎡
・設計遊間20mm
・材料単価:平成29年4月建設物価(愛知県)
・労務単価:平成29年度公共工事設計労務単価(愛知県)
・旧伸縮装置の撤去は市場単価が適用できる範囲
・床版防水工の施工管理は道路橋床版防水便覧6.5.4に基づく
【新技術】
・伸縮部は遊間幅20mmに遊間を調整する
・伸縮剤の充填深さ20mm
【従来技術】
・橋梁用伸縮装置設置工(補修軽量型2車線相当)
・塗膜系防水補修工(アスファルト系)
その他の情報
①設計時
設計伸縮幅や伸縮量によって床版遊間幅が変わるため、それに応じて伸縮材(充填剤)の使用数量の計算が必要となります。
防水材は伸縮装置上部まで塗布が必要なため、防水材の施工面積の算出時は伸縮装置面積まで含めてください。
既存遊間部が20mm以上の場合には、遊間部を20mmまで詰める不陸調整工が必要となります。
②施工時
施工時の気温0℃以上。
床版コンクリート面の含水率は10%以下。
降雨時及び降雨が予想される時は施工を行わないでください。
強風で伸縮材や防水材、プライマーが飛散する恐れがある場合は施工を行わないでください。
突然の降雨があった場合には、直ちに施工を中止してください。
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