IPH工法(内圧充填接合補強)2019年8月1日時点

IPH工法(内圧充填接合補強)

技術の概要

①何について何をする技術なのか?
 地震被害を受けたり、劣化したコンクリート構造物について復旧・補修を行う自動式低圧樹脂注入工法の技術である。
 当初の設計強度を下回っているコンクリートについては、本工法で樹脂を注入する事により、鉄筋とコンクリートの付着力が回復し、耐力を回復及び増強すると共に劣化要因の進入を遮断し中性化を抑制する技術である。
②従来はどのような技術で対応していたのか?
 ・欠損断面修復の場合は、劣化部分を鉄筋位置まではつり落とし、鉄筋防錆後接着剤とモルタル塗りで対応していた。
 ・ひび割れ補修の場合は、雨水侵入防止としてUカット工法やVカット工法等の表層補修で対応していた。
・コンクリート浮きの場合は、その部分をはつり落とし、劣化要因を確認しその対策を施した後、元の断面に補修して対応していた。
③公共工事のどこに適用できるのか?
すべての既設コンクリートの補修・補強に適用可能

具体的使用例
・地震によって被災した構造物の補修
・施工時の不具合(ジャンカ・コールドジョイント)の発生したコンクリート補修
・トンネルや地下構造物の止水補修

この技術の登録情報について

副題 コンクリート補修補強及び漏水対策工法
登録機関(過去に登録された機関も含みます) NETIS
登録区分 工法
工種分類 道路維持修繕工(断面修復工・表面保護工・漏水対策工・コンクリート接着工),建築
ICT技術の該当
実績 鹿児島県:徳之島空港県単空港整備工事(2018年)
奈良県:国道425号線無名橋12号補修(2018年)
新潟県:一般国道290号(橋補)空月橋補修(2018年)
岡山県:白石排水機場内構造物補修(2018年)
島根県:千代富橋橋梁改修(2018年)
千葉県:奥米橋橋梁補修(2018年)
長野県:味噌川ダムバルブ室連絡通路(2018年)
熊本県:小畑橋IPH工法による修繕(2018年)
石川県:主要地方道七尾輪島線大型カルパート補修(2017年)
広島県:下栃山橋外橋梁補修(2017年)
広島県:主要地方道広島三次線牛田大橋陥没修繕(2017年)
千葉県:七ツ町第二橋長寿命化工事(2017年)
三重県:一般県道熊野川紀和線橋梁修繕(2017年)
岐阜県:大井発電所落石防護壁修繕(2017年)
島根県:町道川西五反田線中山橋外橋梁修繕(2017年)
愛媛県:中央浄化センター県道横断管廊外耐震補強(2017年)
新潟県:建第43号泉町学校線大橋橋梁修繕(2017年)
富山県:宮神橋上部工補修(2016年) 
愛知県:県営名古屋空港土木施設工事(2016年)
岐阜県:小坂川(発)水圧鉄管固定台他主膳工(2016年)
開発年 2003年
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技術の特徴

①どこに新規性があるのか?(従来技術と比較して何を改善したのか?)
 Ⅰコンクリート内部の空気や水分を抜き取り樹脂と置換する機能を持つ注入器を開発
 Ⅱ新規にコンクリートをはつり落とすことなく注入を行う
 Ⅲ欠損部を断面修復した場合は、補修後に注入を行う
②期待される効果は?(新技術活用のメリットは?)
 Ⅰコンクリート内部の空気や水分を抜き取ることのできる注入器(IPHカプセル)で注入することにより、微細なひび割れまで充填でき、強度回復・鉄筋の付着力回復及び防錆、止水、中性化抑制を高めることができる(耐力1.3~1.5倍向上)
 Ⅱ劣化部のはつり作業が不要なので、経済性の向上(28.65%縮減)・工程の向上(53.85%短縮)することができる
※規模により低減率は異なる
 Ⅲ欠損部を断面修復した後に注入作業を行うことにより、補修部分と既存コンクリートとの接合力を高める










技術の適用条件・適用範囲

適用条件
①自然条件
 外気温1℃以下の場合は加温養生対策及び樹脂変更の検討が必要
 外気温5℃以下の場合は保温養生が容易に仮設でできるので、寒冷地での施工が可能
 雨天時の注入作業、撤去作業は可能
②現場条件
 通常足場で作業可能
③技術提供可能地域
 技術提供地域については制限なし
④関係法令等
 環境基本法 騒音規制法 振動規制法
 
適用範囲
①適用可能な範囲
・すべての既設コンクリートの補修・補強
 (橋梁・ダム・トンネル・カルバート・防波堤・擁壁・建築物等)
・振動を伴う構造物
・圧縮強度10~40N/mm2の範囲
②特に効果の高い適用範囲
市街地及び供用中のコンクリート構造物
劣化鉄筋コンクリート構造物
トンネル・高深度地下構造物・水槽及び劣化したコンクリート橋梁等の補修
③適用できない範囲
特に無し
④適用にあたり、関係する基準およびその引用元
コンクリート標準示方書「維持管理編」:土木学会
「コンクリートのひび割れ調査、補修、補強指針2013」:日本コンクリート工学会
「コンクリート構造物におけるIPH工法(内圧充填接合補強工法)の設計施工法」
に関する技術評価:土木学会

施工方法について

《欠損断面修復工》
①鉄筋が露出している場合、ポリマーセメントペースト「IPH#300」を使用し、刷毛またはローラーで防錆処理する。
②欠損部を無収縮ポリマーセメントモルタル「IPH#600」を使用し、コテで補修する。
 
《断面修復注入工》
①劣化部・ひび割れ部を「VDRダイヤモンド吸塵システム」を使用し、研磨する。
②注入ポイントをマーキングする。
③注入カプセル取付位置を水循環型の電動ドリル「IPHミストダイヤ」を使用し、穿孔する。
④注入ポイントに可剥性シール材(ピックアップシール)を使用し、JP台座を取付ける。
(低温時や高速硬化の必要な場合には、クイックシールを使用する)
⑤注入ポイント以外のひび割れ箇所、施工箇所にもれ止め防止材(IPH#300及びピックアップシール)で密閉する。
⑥注入器「IPHカプセル」を取り付け、エポキシ樹脂「E-396H」を注入し、加圧養生する。(低温時や高速硬化の必要な場合には、速硬型アクリル樹脂(А-396MSC)を使用する。)
⑦樹脂硬化後、注入器「IPHカプセル」及びもれ止め材「ピックアップシール」を取り除く。
⑧補修表面を「VDRダイヤモンド吸塵システム」を使用し、平坦に研磨する。
⑨表面仕上げ下地材「IPH#300」を塗布する。
(※表面保護工は必ず施工する工種ではない)
(※断面修復施工完了後、表面被覆工を施工する場合は、無機質系通気型撥水塗布(セラブレンドP-5000)で塗布仕上げする)










その他の情報

IPH工法はIPH工法施工技能士講習に合格した(協会会員会社・会員下請会社の作業者のみ取得可能)技能士のみが施工できる工法です。

この技術を提供する会社の連絡先情報

会社名 一般社団法人IPH工法協会
担当者 上田早佑美
郵便番号 733-0861
住所 広島県広島市西区草津東1-11-51
電話番号 082-961-5781
FAX番号 082-272-7276
サイトURL http://www.iph-v.com

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