開放型耐震補強工法 「SMIC(スミック)工法」「集合住宅SMIC(スミック)工法」2019年8月1日時点

開放型耐震補強工法 「SMIC(スミック)工法」「集合住宅SMIC(スミック)工法」

技術の概要

・SMIC工法について
①何について何をする技術なのか?
既存鉄筋コンクリート建築物および既存鉄骨鉄筋コンクリート建築物の柱・梁構面内に、鉄骨と繊維補強コンクリートで構成されるプレキャスト部材(「プレキャストCES部材」と称する。)を接着接合にて一体化し耐震性の向上を図る耐震補強工法である。□型、門型、あるいは、I型に形成して部材を取り付けるため、居住性、機能性、採光性を損なうことなく開放的に補強できるのが特長である。
②従来はどのような技術で対応していたのか?
今まで居住空間や執務空間であった部分に、一般的な耐震補強工法であるRC壁の増設補強やブレースを有する工法により補強を行うと、空間が塞がれたり、使い勝手が変わってしまうという問題があった。また、既設躯体と補強部材を一体化するためにあと施工アンカーを主とする補強工法では、騒音・振動が目立ち、改修工事中の居住者への配慮が問題であった。
③公共工事のどこに適用できるのか?
既存鉄筋コンクリート建築物および既存鉄骨鉄筋コンクリート建築物の耐震補強に適用できる。特に、ピロティを有する建物や外側からだけでは補強できない建物、また、騒音、振動、粉塵の発生が抑制されるため、庁舎や学校、病院、集合住宅など多様な用途の建物に適用可能である。
・集合住宅SMIC工法について
① 本工法は、既存鉄筋コンクリート造建築物および既存鉄骨鉄筋コンクリート造建築物の柱・梁側面を増打ちし、増打ちを行った既存柱と増打ち梁の構面内に、鉄骨と繊維補強コンクリートで構成されるプレキャストCES部材を挿入し、接着接合にて一体化させ、耐震性の向上を図る耐震補強工法である。特に集合住宅のベランダの様に、掃き出し開口を有する建築物に適用すると、有効高さを確保したまま、施工後の居住性・機能性・採光への影響を抑え、耐震補強をすることが出来る。

この技術の登録情報について

副題 建物の使い勝手や景観を損なうことなく実現できる耐震補強工法
登録機関(過去に登録された機関も含みます) 【SMIC工法:国土交通省(NETIS)、一般財団法人日本建築防災協会】【集合住宅SMIC工法:一般社団法人建築研究振興協会】
NETIS登録番号 CB-120019-A
登録区分 工法
工種分類 建築(耐震・免震・制震工事)
ICT技術の該当
実績 代表例
〇2017年度
宗教法人浄土真宗本願寺派教西寺・妙覚保育園(耐震他)
SMIC工法:門型×3構面
〇2016年度
奈良県広陵町・広陵町本庁舎耐震改修工事(第1、2期)
SMIC工法:□型11構面、門型3構面
地方独立行政法人大阪市立工業研究所・
地方独立法人大阪市立工業研究所管理棟耐震改修工事
集合住宅SMIC工法:□型3構面
開発年 2006年
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技術の特徴

①どこに新規性があるのか?(従来技術と比較して何を改善したのか?)
・□型や門型、あるいは、I型の補強ユニットを既存建物の柱梁フレーム内に取り付け、
接着剤にて一体化する耐震補強工法とした。
・補強ユニットは鉄骨の周囲を繊維補強コンクリートで巻いたプレキャストCES部材とした。
・プレキャストCES部材は各補強ピースに分割できるように接合部を設けた。
各補強タイプの特徴を以下に示す。
(□型補強):L型補強ピース4体で構成され、各柱梁の四周を補強したタイプである。
RC壁やブレースを有する工法と同程度の耐力が発揮できる。
(門型補強):L型補強ピース2体とI型補強ピース2体で構成され、足元の下枠が無いタイプである。
( I 型補強):I型補強ピース2体で構成され、柱の側面のみに取り付けるタイプである。
主に柱の軸耐力補強に用いる。

      

②期待される効果は?(新技術活用のメリットは?)
・補強ユニットは□型や門型、あるいはI型であることで、補強後においても
建物の開口部を最大限に確保することができ、ブレース等斜めに補強部材が入らないことで
居住性・機能性・採光に対する影響は小さい。
また、窓の外の景観を損なわず、外部から見た場合にも、美観を損なうことがない。
・特に、門型補強の場合は、下枠がないため、床の段差が生じることなく補強できる。
・補強ユニットを分割し、補強ピースで現場に搬入できるため可搬性が良い。
・ボルトで容易に組み付けが可能であるため、特殊技能を持った作業者を配置する必要がない。
・補強部材を工場で製作するため、品質が安定し、また、現場での工期が短縮できる。
・柱梁フレームと補強ユニットとの接合は、接着接合を主体とするため、振動・騒音・粉塵の発生が
抑えられ、特に”集合住宅SMIC工法”ならば「居ながら補強工事」に有効である。




技術の適用条件・適用範囲

・適用条件
①自然条件
・接着接合材であるエポキシ樹脂は、既設躯体等に水分があると接着性が損なわれるため、
乾燥した状態で施工する。
(予め雨養生を行い、水分計測にて8%以下であることを確認してから施工する。)
・温度が低い場合、エポキシ樹脂が硬化不良を起こす場合があるため、
5℃以上の作業環境で使用する。(5℃未満では、加温、保温対策を行ってから使用する。)
②現場条件
・プレキャストCES部材を取り入れる搬入口が必要
③技術提供可能地域
・離島を除く全国
④関係法令等
耐震改修促進法、建築基準法


・適用範囲
①適用可能な範囲
・(財)日本建築防災協会の「耐震診断基準」による耐震診断が適用可能である
既存鉄筋コンクリート建築物および既存鉄骨鉄筋コンクリート建築物
・既存のコンクリート強度が13.5N/mm2以上を有する建築物
・柱、梁構面内の補強
②特に効果の高い適用範囲
・中低層の鉄筋コンクリート構造物および鉄骨鉄筋コンクリート構造物全般
・比較的壁が少なく、多スパンで、室内の補強を余儀なくされる建築物
③適用できない範囲
・既存のコンクリート強度が13.5N/mm2未満の建築物
・柱、梁構面外(=柱、梁の側面)の補強
④適用にあたり、関係する基準およびその引用元
・既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準・改修設計指針同解説((財)日本建築防災協会)
・既存鉄骨鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準・改修設計指針同解説((財)日本建築防災協会)
注:連層配置による耐力評価には条件有り。(下階抜けの検討がOKの場合はその限りではない。)












施工方法について

①既設仕上げ(モルタル等)を撤去の上、アンカーの穿孔および躯体の不陸調整を行う。
②~⑤ 各プレキャストCES部材を順番に取り付け(※1)、
アンカーの固着・調整・継手ボルトの本締めを行う。
※1:CES部材の取り付けは、接着剤(エポキシ樹脂)が注入できるよう、
クリアランス(最大20mm)をあけて取り付ける。
⑥ エポキシ樹脂を注入(※2)して、既存躯体と補強部材を一体化する。
※2:接合部の周囲はエポキシ樹脂注入用に予めエポキシパテにてシールしておく。
⑦ 部材ジョイントの継手部に指定性能を満たしたプレミックスモルタルに、
指定材料である繊維混和剤を投入した繊維補強グラウトを注入する。
⑧ 仕上げて完了。
※3:クレーン等の配置空間が確保できれば、吊冶具の吊りバランサー(名称・リーチバランサー)を
用いることでCES部材を直接取り込む事も可能になる。
注1:集合住宅SMIC工法については上記作業に加え、既存柱・梁側面の増打ち工程が発生する。
注2:「SMIC工法」における施工手順については、パンフレット参照。










その他の情報

①設計時
・設計方法は、(財)日本建築防災協会 「SMIC工法技術評価資料-設計マニュアル」、
(一社)建築研究振興協会「集合住宅向けSMIC工法-設計マニュアル」による。
・原則として、純ラーメン部への補強とする。純ラーメンでない2辺以上が剛接型接合となる
袖壁・腰壁・垂壁が取り付く柱への補強は、必要に応じて耐震スリットを設ける必要がある。
・補強タイプ(□型、門型、I型)の選択は、既存建物の耐震性を把握した上で、
建物の使用勝手や補強効果を十分検討して決定する必要がある。
②施工時
・施工方法は、(財)日本建築防災協会「SMIC工法技術評価資料-施工マニュアル」、
(一社)建築研究振興協会「集合住宅向けSMIC工法-施工マニュアル」による。
・エポキシ樹脂注入材は、施工マニュアルに示された品質規格に適合したものを使用する。
・この工法の施工は、原則として、品質確保と施工ノウハウ蓄積の観点から
SMIC工法推進協会メンバーで、かつ、施工指導を受けた施工会社が責任施工で行う。
③維持管理等
・部材表面がコンクリートであるため、既存部材と同じメンテナンスができる。
④その他
必要に応じて他の工法と併用することができる。


    



この技術を提供する会社の連絡先情報

会社名 名工建設㈱
部署 建築本部 建築技術部 SMIC事業課
担当者 太田亨
郵便番号 450-6113
住所 愛知県名古屋市中村区名駅1-1-4 JRセントラルタワーズ35階
電話番号 052-756-2496
FAX番号 052-462-1935
サイトURL http://www.meikokensetsu.co.jp

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