乾式磁力選別 DME工法2024年9月18日時点

乾式磁力選別 DME工法

技術の概要

①何について何をする技術なのか?
・重金属汚染土壌中の重金属汚染物質と浄化土を分離する技術である。重金属物質は場外の管理型最終処分場等へ運搬処理し、浄化土は現地埋戻し等、土壌として利用する。
②従来はどのような技術で対応していたのか?
・重金属汚染土壌の全量を場外の管理型最終処分場等へ運搬処理していた。
③公共工事のどこに適用できるのか?
・トンネル工事、道路工事、再開発工事等で発生する重金属汚染土壌の処理に適用できる。
④その他
【本技術の開発の背景】
・工事で発生する掘削残土の中に、自然由来の重金属汚染土壌が発生する場合がある。
これら土壌の対策方法として、現地周囲で汚染土壌を管理する方法あるいは、場外の処理施設に搬出する方法がとられている。
前者は、遮水工を敷設し、これに汚染土壌を入れる「封じ込め」や、不溶化剤を混合して重金属の溶出が無い状態にする「不溶化処理」といった方法がとられる。
これらの技術は効果の長期維持管理が必要、掘削する際は汚染土壌扱い、管理用地確保等が課題となる。
一方、後者は、汚染土壌を全量土壌処理施設へ運搬処理するため、対象地から汚染物質が無くなる点でメリットがあるものの、前者と比較して対策コストが高い。
※汚染土壌処理施設:土壌汚染対策法では許可制となっており、浄化等処理施設等の法で定められた5種類の施設が規定される。
これに鑑み、現地で汚染土壌から汚染物質を抽出し、浄化土と汚染濃縮土に分離することができる本技術を開発した。
【本技術の原理】
・重金属汚染土壌中に重金属を吸着する特殊鉄粉を混合した後、乾式磁選して鉄粉を回収除去することにより、浄化土を得る方法である。
【土壌汚染対策法上の技術分類】
・本技術は土壌汚染対策法上の汚染土壌処理方法の「浄化-抽出-磁力選別」に該当する技術。
(汚染土壌の処理業に関するガイドライン 改定第4版 平成31年3月 環境省 水・大気環境局 土壌環境課 p.11 表1.5.2-1参照)
・汚染土壌の性状によるが、磁着物は処理対象の重金属汚染土壌量に対して、重量比約10%発生する。磁着物のみを重金属汚染物質が濃縮した汚染土壌として場外の管理型最終処分場等へ運搬処理するので、運搬車両台数が減少し、経済性の向上および周辺環境への影響抑制が図れる。

この技術の登録情報について

副題 重金属汚染物質と浄化土を分離する技術
登録区分 工法
工種分類 土工(残土処理工),環境対策工(その他)
ICT技術の該当
開発年 2014年
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技術の特徴

①どこに新規性があるのか?(従来技術と比較して何を改善したのか?)
・汚染土壌全量を場外の管理型最終処分場等への運搬処理していたのを、重金属汚染土壌中の重金属汚染物質と浄化土を分離することに変えた。

②期待される効果は?(新技術活用のメリットは?)
・汚染土壌中の重金属物質と浄化土を分離することに変えた事により、分離した重金属汚染物質のみを管理型最終処分場等へ運搬処理すればよいこととなるので、経済性の向上および周辺環境への影響抑制が図れます。

③その他
・通常、浄化土は対象土量に対して、重量として概ね90%程度である。
・対象汚染土壌の量が数万m3と多い場合には、汎用の土壌改良機を活用することにより、経済性の向上が図れます。
・対象土量の量が10万m3以上の場合は、大型のプラントを設置することにより、更に、経済性の向上が図れます。
・対象土壌の水分が低い方が、資材使用量が減り、経済的に有利である。



技術の適用条件・適用範囲

①自然条件
・大雨等の悪天候時は実施できない。
②現場条件
・処理能力100m3/day、8時間操業とした場合、25m×40m=1,000m2程度の設備設置場所が必要。
・処理後の土壌を分析して基準値以下となっていることを確認するため、分析期間分の検査待ち仮置き場が別途必要。
(分析頻度が100m3につき1回、分析期間8日間要する場合、60×40m=2400m2程度必要。)
なお、分析期間が短縮できる場合はその分、検査待ち仮置き場の面積を小さくすることができる。
③技術提供可能地域
・技術提供範囲については特に制限なし。
④関係法令等
土壌汚染対策法(平成十四年五月二十九日法律第五十三号、最終改正平成二十九年法律第四十五号)環境省




①適用可能な範囲

・土壌汚染対策法の第二種特定有害物質の9種類の内、ひ素、鉛、六価クロム、セレン、シアン、ふっ素、カドミウム、水銀による重金属汚染土壌が対象となる。
・土壌溶出量は、土壌汚染対策法の指定基準の10倍以下。
・土壌含有量は、土壌汚染対策法の指定基準以下。
②特に効果の高い適用範囲
・ひ素は特に効果あり。
③適用できない範囲
・土壌汚染対策法の第二種特定有害物質の9種類の内、ほう素は鉄粉に吸着し難いため適用できない。水銀については現状許可を取得した処理施設は存在しないが、机上試験において適用可能であることを確認している。
・ほう素については、乾式磁力選別工法での処理は出来ないが、土壌洗浄法等他の工法で当社での処理は可能。
・土壌溶出量は、土壌汚染対策法の指定基準の10倍を超える場合、鉄粉の増量が必要となり、経済性が悪化するため、適用が難しい。
・土壌含有量は、土壌汚染対策法の指定基準を超える場合は適用できない。(鉄粉は水溶性の重金属を吸着する能力があるが、含有量基準を超過する土壌中の重金属の形態は大半が水溶性でないと考えられるため。)
④適用にあたり、関係する基準およびその引用元
・土壌汚染対策法施行規則(平成十四年十二月二十六日環境省令第二十九号、最終改正平成三十一年環境省令第三号)環境省
別表第二

施工方法について

①設備ヤード整地・敷鉄板敷設
・設備設置範囲を整地する。
・汚染物質の浸透防止のため、シート敷きし、鉄板を敷く。
②設備搬入・組立
・磁選機等設備を搬入し、クレーンを用いて荷下ろしし、組み立てる。
③汚染土壌受入
・受入した汚染土壌をバックホウを用いて整形し、受入数量を検収する。
・仮置きする場合は汚染土壌の飛散流出を防止するため、シート掛けする。
④篩分け工
・汚染土壌を目開き40-100mm程度の篩分け機を用いて、篩分けする。
・篩下の土壌を処理対象とする。篩上は別途、再利用する。
⑤乾式磁力選別
・反応助剤、特殊鉄粉を汚染土壌に添加し、混合する。
・吸水剤を汚染土壌に添加し、混合する。
・磁選機に供給し、磁着物と非磁着物に分ける。
⑥磁着物の場外処理
・磁着物は汚染濃縮土壌として、搬出車両に積込み、土壌浄化処理施設等へ運搬処理する。
⑦浄化確認分析・浄化土搬出
・非磁着物(浄化土)をロット毎にサンプリングし、仮置き保管する。
・基準以下が確認できたロットを搬出車両に積込み、再利用先へ運搬する。
⑧設備解体・搬出
・土壌を処理完了後、設備を解体し、搬出する。


その他の情報

①設計時
・事前試験で対象土壌が本技術により処理可能かを確認する。
・現地に処理設備が設置可能かを確認する。
②施工時
・水分が多い泥土、粘土などは、ベルトコンベア等で詰まりを起こしやすいため、投入速度を落とす等の注意が必要。
事前に中性固化材を混合して、ハンドリングを改善する(土壌を搬送しやすくする)ことも考えられる。
・乾燥土壌の場合、混合機等で粉じんが発生する可能性がある。適度な散水等で防止する。
③維持管理等
・異音・振動の確認、油をさす等、機械の日常点検を行う。
・設備内に土壌の居着き等が無いよう、定期的(通常、週1回程度)に設備を清掃する。
・鉄粉、酸、吸水剤等の薬剤は在庫管理を行い、処理期間中途切れ無いよう、適時手配する。
・処理した土壌は、浄化土として扱うことが出来るため、特別な維持管理は必要ない。
④その他
・特になし

この技術を提供する会社の連絡先情報

会社名 DOWAエコシステム㈱
部署 ジオテック事業部
担当者 野崎順兵
郵便番号 101-0021
住所 東京都千代田区外神田4-14-1 秋葉原UDX22F
電話番号 03-6847-1232
FAX番号 03-6847-1241
サイトURL https://www.dowa-eco.co.jp

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