ハイブリッド・山辰サイフォン排水装置2019年10月8日時点

ハイブリッド・山辰サイフォン排水装置

技術の概要

①何について何をする技術なのか?
天然ダム、砂防工事現場のように、高低差が大きい現場において、長期間にわたり常時排水を実施する際に、サクションホース、専用部材等を組み合わせて配管することで、サイフォンの作用による排水を可能にし、燃料費を大幅に縮減する装置である。装置のサイズは、φ200mm、φ100mmの各種があり、各サイズのサクションホース、水中ポンプ、発電機、専用部材を組み合わせて配管を行うことで、水中ポンプの電源のオン、オフのみでサイフォンの作用による排水を起動させ、安定した状態で送水が持続することを実現した。

②従来はどのような技術で対応していたのか?
天然ダム、砂防工事現場においては、水中ポンプ、発電機、サニーホース等を用いて、ポンプアップによる排水作業が実施されていた。発電機を24時間稼働させるため、排水作業が長期にわたるほど燃料費が多額なものとなっている。

③公共工事のどこに適用できるのか?
天然ダム、砂防工事現場のように高低差がある現場において、一定の長い期間にわたり、水中ポンプによる排水作業が必要となる現場。

この技術の登録情報について

副題 高低差が確保できる現場で、サイフォンの作用による送水を可能とし燃料費の削減を実現する排水装置
登録機関(過去に登録された機関も含みます) NETIS
NETIS登録番号 CB-160016-A
登録区分 工法
工種分類 仮設工(水位低下工ー締切排水工)
ICT技術の該当
開発年 2015年

技術の特徴

①どこに新規性があるのか?(従来技術と比較して何を改善したのか?)
・従来はサイフォンを起動させるのに手間がかかっていた。それを解決するため、
専用部材「ワイ・ガッチャン」を開発した。これにより、発電機の電源のオン、オフのみで
水中ポンプによる送水からサイフォンの作用による送水への切り替えを行うことができるようになり、
遠隔による操作が可能となり、安全性の向上につながった。

・「ワイ・ガッチャン」のほか、サクションホースと一体化するフランジ、空気逆流防止部材、
水中ポンプ送水側停止部材、配管内の残留空気を押し出す部材、といった専用部材を開発し、
組み合わせることでサイフォンの作用による送水を容易に起動、停止することができ、
また安定した排水を継続できるようになった。

・従来の水替工では、発電機の稼働の際に軽油を使用するため使用期間が長期に亘るとそれに伴い、
燃料費も増加していた。本装置はサイフォンの作用における送水時には燃料の消費がないため、
燃料費の縮減が可能となった。

・補給作業の回数が少なくなるため、それらの手間、費用も軽減することが可能となった。
・従来はホースの配管などにおいて、被災地付近での作業が実施されることがあったが、
本装置においては、組み立てたのちにラフテレーンクレーン、バックホウなどの重機を用いて
移設を実施するため、作業時における安全性が向上した。


②期待される効果は?(新技術活用のメリットは?)
・サイフォンの作用による送水を起動させる方法が、水中ポンプの電源のオン、オフのみなので、
作業が安全かつ容易であり、誰でも操作が可能である。

・専用部材によってサイフォンの作用による送水の起動だけでなく、
停止も容易かつ安全にできるようになった。
また、サクションホース同士を連結した状態での移設も可能となり、作業効率が上がった。

・サイフォンの作用による送水時においては、燃料の使用がないため燃料費の縮減が可能となる。
・補給作業の回数がなくなるため、特に地震、大雨等によって補給路の確保が困難となる
天然ダムにおける排水作業においてその効果が高く見込まれる。

・安定した足場、作業ヤードを選んで組み立てることができ、さらに移設が可能となることから、
作業時の安全性の向上が見込まれる。

・現地の状況と使用できる重機に応じて、本装置のサイズを選定し、設置、稼働することができる。



技術の適用条件・適用範囲

①自然条件
水中ポンプ、発電機が稼働する範囲の温度、湿度、標高であること
②現場条件
φ200mmの本装置においては、25tラフテレーンクレーンが運用できること。
φ100mmの本装置においては、4インチ水中ポンプ並びに発電機を吊り上げ、
設置ができる重機が運用できること。

③技術提供可能地域
提供可能地域については制限なし
④関係法令等
特になし。



①適用可能な範囲

・天然ダム、砂防工事現場のように、高低差の確保ができる現場。
・湛水池、釜場から配管するホースの最頂部が7m未満の高さであること。
②特に効果の高い適用範囲
・吐出し口を湛水池、釜場の水位に対してできるだけ低位置にすることで、排水量が増える。
・排水作業の期間が半年、1年のように長いほどコスト効果が高くなる。
③適用できない範囲
・吐出し口が湛水池よりも高い位置にしか設けることができない場合。
・湛水池、釜場から配管するホースの最頂部が7m以上ある現場。
・湛水池並びに釜場の水位を排水作業によって底部から0(ゼロ)または
それに近い状態にする必要がある現場。サイフォンの作用による送水は空気を吸ってしまうと
送水が停止してしまうため、湛水池、または、釜場を干上がらせることはできない。

④適用にあたり、関係する基準およびその引用元
特になし。

施工方法について

①準備工
発電機の設置(発電機の選定にあたっては、従来の水中ポンプと同様)
水中ポンプからのキャプタイヤケーブルの延長について、災害時等の現場においては、
湛水池に設置する水中ポンプと発電機との距離が長くなる傾向があるので、
損失等を事前に計算し適切なキャプタイヤケーブルを選定し、ポンプに取り付けておくこと。


②設置手順
ワイ・ガッチャン、設置位置を選定する。湛水池に設置する水中ポンプならびに
サイフォン吸水口を考慮し位置を選定する。

水中ポンプにサクションホースを連結する。
サクションホースを展開し、ワイガッチャンから下流側へと連結していく。
接続した水中ポンプ、ならびにサイフォン吸水口を釜場に設置。
連結してあるホース、部材を移設する。

③サイフォンによる送水の起動方法
まず水中ポンプによる送水を実施する。水中ポンプの取り扱いは従来の工法と同じ。
3分間ほど送水を実施したら、水中ポンプの電源を切る。
すると、ワイ・ガッチャンによってサイフォンの送水へと切り替わる。

④維持管理
釜場及び吸い込み口周辺の除塵対策については従来工法と同じ。
1日1回、1分間ほど、水中ポンプによる送水を実施する。
これは、配管したサクションホースの中にサイフォン送水時に自然にたまる空気によりできた、
空気の断面を強制的に送り出すためである。

その他の情報

①設計時
・湛水池または釜場の水位から配管するホースの最頂部の高さが7m未満であることを確認する。
・湛水池または釜場の水位から低い位置に吐出し口を設けるために必要な配管延長を設定する。
・湛水池または釜場の水位をサイフォン排水でどこまで下げることができるかを確認する。
これは、サイフォンの作用による送水は「水位と配管したホース最頂部が7m未満であること」が
条件であることから、水位が下がることにより、最頂部までの高さが大きくなるため、
下げられる水位に限界があるためである。さらに、揚程も大きくなることから、吐出量も減少していく。下げられる水位、減少する吐出量が設計、施工の上で問題がないかを確認する必要がある。

・吐出し量については、ホース延長、最頂部までの高さ、水位と吐出し口の落差などをもとに
ベルヌーイの定理によりおおよその数値を算出することができる。

・吐出し口の位置については、吐出し口からの水の影響で洗掘が発生するため、洗掘防止対策の実施、
または洗掘されても現場全体の影響の少ない場所を選定することが必要である。

・サクションホースの延長や配管数によっては、運搬費用、設置手間を加味した経済比較が必要となる。合わせて、仮置き場や施工ヤードの確保も検討すべき事項となる。
②施工時
・φ200mmの本装置の施工は、重量物を多数用いることから、25tラフテレーンクレーンを
用いることが標準である。

・φ100mmの本装置の施工は、0.45m3バックホウなどの重機を用いることが標準である。
・湛水池または釜場において、サイフォン側の吸込口付近に滝状の落水や波などがある場合、
吸い込む水の中に気泡がまざり、その空気が管内でたまってサイフォンを停止してしまう原因と
なることがある。サイフォン側の吸水口は、そういった気泡が発生しない場所に設置する必要がある。

③維持管理等
・1日1回1分間、水中ポンプを稼働させて、サクションホース内にたまった空気を
強制的に送り出す作業を実施する。

・湛水池、釜場への自然水の流入量に対してサイフォンによる吐出量が極端に多くなる場合、
水位が下がり、吸い込み口から渦を巻いて空気を吸い込み停止する場合がある。
自然水の流入の増減が激しい現場や極端に少ない現場では本装置の使用に検討が必要である。

④その他
除塵対策については、従来の水替工と同様とする。

この技術を提供する会社の連絡先情報

会社名 ㈱山辰組
担当者 馬渕剛
郵便番号 501-0511
住所 岐阜県揖斐郡大野町稲畑203-1
電話番号 0585-32-0171
FAX番号 0585-32-0885

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