技術の特徴
①どこに新規性があるのか?(従来技術と比較して何を改善したのか?)
撥水剤は、溶剤系と水系に大別される。
溶剤系、特にアルコール系では、揮発速度が速いために、撥水剤の成分がコンクリートの奥深くまで含浸し、
撥水層を形成する前に、薬剤が揮発してしまうことがあった。
また、高温時には揮発速度がさらに速くなり、施工性が低下する場合があった。
土木学会の表面保護工設計施工指針(案)でも、晴天時や30℃以上の環境で施工をする場合には、
水系の材料を使用することが好ましいとされている。
一方、水系撥水剤は、0℃以下では凍結してしまうため、低温環境では施工が不可能であった。
また、施工後、表面に撥水性が付与された基材への再度の塗布には、材料自体の水分が弾かれてしまうために、
表面の撥水層をはつり取るなどの工夫が必要な場合があった。
サンハイドロックLに使われる特殊溶媒の揮発速度は水の1/10以下で、従来の水系撥水剤以上にゆっくりと揮発する。
揮発速度が遅いことで、塗布後表面近くに残った撥水剤が、揮発してしまうことなく含浸し続けるため、
1回の塗布で深く含浸させることが可能である。
特に高温環境での施工には優位性がある。
サンハイドロックLの溶媒は-40℃まで凍結しないため、0℃以下での施工も可能である。
再塗布に当たっても、撥水剤自体が撥水層に弾かれるようなことが無く、そのまま塗布することが可能である。
②期待される効果は?(新技術活用のメリットは?)
例えば、融雪剤による塩害劣化が懸念される寒冷地域は、撥水剤の効果が大きく発揮できる地域であるが、
冬場には気温が0℃を下回ることも多く、日中には0℃を超えたとしても、日没後すぐに氷点下となるため、
水系撥水剤での施工が困難であった。
サンハイドロックLでは、温度条件によって施工が左右されることが無いため、どのような地域でどのような時期に施工しても、
効率的で安定した施工が可能である。
被覆系工法や、水系の含浸工法と違い、旧塗膜や撥水層の除去等を伴わずに何度でも塗り重ねが可能であるため。
再施工やタッチアップ施工が容易である。
揮発速度が遅いため、塗布氏が箇所の濡れ色が消えるまでに時間があり、既塗布部と未塗布部の見分けが容易である。
一度の塗布で深く含浸するため、工程数が短縮できる。
技術の適用条件・適用範囲
①自然条件
施工時の気温は-20℃以上、60℃未満が好ましい。ただし、著しい結露の無いこと。
降雨中や降雨直後の施工、あるいは施工後24時間以内に降雨が予想される場合には、
基材に雨水がかからないような養生が必要となる。
また、強風時には飛散防止措置を取る必要がある。
②現場条件
基材コンクリートは、乾燥状態であることが必要。
火気や高温となる機械が付近に無いこと。
打設直後のコンクリートへの施工は避けること。
一般的な塗装作業に必要な足場や作業スペース、養生が必要。
③技術提供可能地域
上記条件を満たせば、日本全国で施工可能。
④関係法令等
・消防法
①適用可能な範囲
コンクリート構造物全般、及びその他の無機多孔質材料を使用した構造物全般。
②特に効果の高い適用範囲
・表面保護が必要なコンクリート構造物で、寒中や暑中の施工の可能性がある場合
・塩害による劣化の懸念されるコンクリート構造物
・凍害による劣化の懸念されるコンクリート構造物
・アルカリ骨材反応による劣化の懸念されるコンクリート構造物
・中性化による劣化の懸念されるコンクリート構造物
・意匠性の高い外観で、被覆系の表面保護を避けたい構造物
③適用できない範囲
水中や、常に湿潤な環境にある場合は、施工できない。
表面に被覆がされたコンクリートの場合は、被覆材を除去して施工する必要がある。
特殊な混和材やポリマーを多量に配合したコンクリート等への適用には検討が必要。
④適用にあたり、関係する基準およびその引用元
コンクリートライブラリー119 表面保護工法設計施工指針(案) 土木学会編
施工方法について
1)清掃等
表面の汚れや付着物を、洗浄やケレンで落とし、充分に乾燥させる。
断面の欠損や大きなひび割れがある場合には、予め補修しておく。
2)塗布作業
刷毛、ローラー、スプレーなどで、均一に塗布する。
現場の条件に合わせて、塗り方や塗り回数を調整すること。
3)養生
最低24時間以上、水等がかからない様に養生すること。
数日間は水等がかからないことが望ましい。
その他の情報
①設計時
幅0.2㎜以上のひび割れや、進行性のひび割れがある場合には、別途ひび割れ補修工法等の検討が必要。
常時水中となる構造物への適用は検討が必要。
カラーコンクリートや、特殊配合のコンクリートへの適用は検討が必要。
標準塗布量は目安であり、基材コンクリートの粗密や、表面性状によって変動するので注意すること。
②施工時
・塗布面が清浄であることを確認すること。汚れや油脂がある場合には、脱脂、洗浄、ケレン等の適切な下処理を行うこと。
特に、材齢の若いコンクリートでは、離型剤の残留に注意が必要。
・塗布面の乾燥状態、気象条件をよく確認すること。
・巣穴等の凹凸の中にも材料が充分含浸するように注意して施工すること。
・適切な保護具を着用し、材料の漏えいや飛散に注意して施工すること。
・施工時及び施工直後は換気をよくし、蒸気の滞留、吸入に注意すること。
・施工後24時間程度は、雨水等がかからないように適切な養生をすること。
③維持管理等
日常点検では、水がかかった際の撥水状態や濡れ色の具合を目視で確認する。
定期点検等の際には、コンクリートの透水量試験等を行うことが望ましい。
保護機能の低下が顕著になった時点で、再施工を行う。
水系材料と違い、材料自体は重ね塗りをしてもはじかれないので、残存保護層の除去は必要無い。
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